標高約3,700 mのアンデス高地にあり、乾季には、 四国の半分ほどもある広い湖面全体が、塩の結晶でおおわれます。地理学的には、塩湖ではなく塩原という方が正確で、塩湖からさらに乾燥と濃縮が進んだ姿です。アンデスの隆起で取り残された海水がもとになって、盆地に塩分が堆積したものだと考えられます。

雨季の間は水がたまって湖のように見え、静かな湖面が空を映し出すため「天空の鏡」とも呼ばれますが、浅く張った塩水の下は全て塩の堆積です。乾季のはじめには水が干上がり、一面が塩でおおわれます。湖岸の村の人々が、表面にできたきれいな結晶を10cmほどの深さまでかき起こして集めて塩の山にし、集めた人のイニシャルを刻みます。これは後に人間の食用として運ばれます。硬くなった塩は斧でブロック状に切り出され、家畜用の塩になります。斧やスコップだけで塩がとれるのは、苦労して海水から塩を採ってきた日本から見れば楽にも思えますが、強烈な日差しと寒風にさらされる、薄い空気の中での作業はとても過酷です。

ウユニで採れた塩は、かつてはリャマで運ばれましたが、現在はトラックで運ばれ、海から遠く離れたアンデス山中の塩需要を満たしています。

 

たばこと塩の博物館 主任学芸員 高梨浩樹

(写真提供:たばこと塩の博物館)

 

参考文献:『たばこと塩の博物館 常設展示ガイドブック』、『塩 地球からの贈り物』片平 孝

(塩と暮らしを結ぶ運動推進協議会事務局より)塩と暮らしを結ぶ運動の賛助会員であるたばこと塩の博物館(東京都墨田区)には、塩湖の展示コーナーの代表として「ウユニ塩湖」が展示されています。現地のパノラマ写真の手前にウユニの表面からかき集められた塩の粒が敷き詰められ、その上に現地で切り出された塩のブロックが並べられています。

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